A Fistful of Films

映画のために...

ボールペンは二度死ぬ

先週、Amazonでボールペンを二ついっぺんに注文した。メーカーはクロスとファーバーカステル。いずれも舶来品だ。とはいえ、とびきり高価というわけではない。前者は「イージー・ライター」、後者は「グリップ2011」というシリーズのもの。それぞれ2000円ほどで買えたから、外国製メーカーのものとしては比較的安い買い物ではないかと思う。が、どちらも買ってから二日と経たないうちに手放すことになってしまった。4月から早々とこんな憂鬱な日々を送ることになろうとは。

前者の製品はずっと前からほしいと思っていた。だが、なにせ定価が5400円もする代物だ。貧乏学生の自分にはそう易々と手が出なかった。いかにも馬鹿正直にこの値で買うくらいなら、書物やDVDに当てたほうがよっぽどましというもの。それでもこの度(満を持して?)購入に踏み切ったのは、急に半額以下の2000円ほどに値下がりしていたからだ。「これは買いだ」と思い、値上がりしないうちに速やかに注文手続きを済ませた。ちなみに、もう一方のファーバーカステル社のボールペンも、これとほとんど同じ価格で買うことができた。

この二つのシリーズには共通点がある。それはラバーグリップ加工が施されているということ。ラバーグリッップとは何か。ざっくり言えば「滑り止めゴム」といったところだろうか。これは日本製のボールペンにはごく当たり前のように浸透している。文具店やホームセンターに行けば、その類の製品が何十何百と売られている。ところが、外国製となるとそうはいかない。モンブランであれペリカンであれ、はたまたパーカーであれウォーターマンであれ、ラバーグリップの加工されたものは皆無に等しい。

そうしたなかで、先述したクロスとファーバーカステルのシリーズにはそれが例外的に施されており、Amazonで見つけるやいなや、いったいどんな書き心地なのか試してみたくなった。そして昨日と今日にかけて製品が届き、さっそく試し書きをしてみた。なるほど確かに持ちやすさを考慮した設計がなされている。クロスは太めの軸に、ファーバーカステルは三角形型の軸になっており、持ったときの適度なフィット感が心地良い。

ところが、ここからどんどんボロがでてきた。不幸なことに、二つとも質の低さを認めざるをえない代物だったのだ。まさか「二つとも」とは思いもしなかった。グリップはともかく、それ以外の箇所に欠点が目立った。まずクロスのほうは、軸とキャップのあいだに数ミリの間隙があり、書くたびにそれがバネのように上下に揺れる。そのストレスといったらなかった。次にファーバーカステルのほうはといえば、なぜか初期搭載のリフィルがブルーで、しかも軸がマットブラックではなくピカピカのブラックだった。

クロスのほうは個体差だろう。工業製品であるかぎり、この点は致し方ない。それに反して、ファーバーカステルのほうは明らかに説明不足だと思う。それも文章と写真の両面において。これまでに買ったボールペンはどれも黒のリフィルを搭載していた。ブルーだったことなど一度としてない。ブルーならブルーと商品説明に明記しておくべき。でなければ買うほうはまったくわからない。軸については、同じ「グリップ2011」シリーズのシャープペンシルがマットブラックだということもあり、てっきりボールペンにも同様の加工がなされているものと思っていた。写真でもそう見えた。だが、いざ蓋を開けてみると、あろうことかプラスティックの何とも安っぽい軸で、マット特有のシックさや高級感などさらさらなかった。

そんなわけで、両者ともすぐさま返品手続きへ。無事に返品&返金が完了することを願う。今回ばかりはわたしもクレームをつけるほかなかった。いや、自らクレームなどと言うと要らぬ誤解を招きかねない。自分では正論を言ったつもり。あれこれと粗探しするのは趣味ではない。こういうことはできれば回避したい。まあ、そうは言っても、これからも年に何度かこの手の不幸に見舞われることになると思うが。Amazonはそういうものだと諦めるしかないのだろうか。