A Fistful of Films

映画のために...

オンライン映画祭は果たして魅力的なのか

「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」という映画祭が2月19日までやっている。ユニ・フランスが主催し、今回ですでに8回目とのことだが、恥ずかしいことについ最近までその存在をまったく知らなかった。映画祭の名を耳にしたこともなければ、友人に教えられたり勧められたりされたこともなく、世話になった先生に見ろと言われたことさえなかった。どれくらいの知名度があるのだろう。気になるところだ。今度まわりの人たちに聞いてみようと思う。恐らくそれほど知られていないのではないか。

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ヴェンダース新作の上映が名古屋ではじまっている

アランフエスの麗しき日々』がようやく名古屋でかかりはじめた。ヴィム・ヴェンダースが初めて全編仏語で撮り上げた意欲作にして新作だ。とはいえ、矢場町のセンチュリーシネマでの上映は期間限定(1/20-2/2)らしいので、ヴェンダース・ファンの方々は早めに駆けるつけるようにしよう。来週金曜まで。それにしても、ヴェンダースの作品が百万都市の劇場で期間限定上映というのはいささか悲しい。『ベルリン 天使の詩』が驚異的なロングランを記録したことはミニシアター黄金期の語り草となっているが、その時代のヴェンダースを知るシネフィルたちはどんな思いでいるのだろう。

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伊藤大輔と加藤泰のレア作品

新しい月になると、BSプレミアムの映画カレンダーを自ずとチェックしてしまう。月替わりのささやかな「ゲームの規則」だ。あまりにも気が早いが、二か月先の放送ラインナップを見て驚いた。ページのいちばん下に幻の映画があるではないか。それも二本も。伊藤大輔の『この首一万石』、そして加藤泰の『炎の城』。いやはや、これには参った。

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パゾリーニの「呪われた部分」:1975→2017

誰もが知るパゾリーニのあの事件が、発生から40年以上の時を経て新展開を迎えている。新たな証言により、これまでの定説とは別の可能性が浮上してきたのだ。なるほど、21世紀の今となっても、パゾリーニの不吉さは尾を引いているらしい。

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テレビでパゾリーニはいかが?

16日の深夜、NHKBSプレミアムピエル・パオロ・パゾリーニの『奇跡の丘』(1964、イタリア=フランス)が放映された。この放映は8月の時点からずっと楽しみにしていた。テレビでパゾリーニが放送されるだって? 誰もがそう思っただろう。しかも民放のBSである。有料の映画専門チャンネルではない。現にTwitter上ではシネフィル(のような人たち)が浮き立ってはいなかったか。わたしもパゾリーニが放送されることに一抹の驚きと喜びを禁じえなかった。思えば、DVD-BOXやブルーレイが出ているとはいえ、パゾリーニは長らくテレビから遠く離れた存在だった。『奇跡の丘』放映の「奇跡」!

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シネフィルWOWOWのこと

映画チャンネル「イマジカBS・映画」がWOWOWの傘下になったことで「シネフィルWOWOW」へと生まれ変わる。それにしても「イマジカBS・映画」とはなんとダサいチャンネル名だろう。まあ、そこは百歩譲って良しとしよう。わたしが気になったのはむしろ「イマジカ」の部分だ。調べてみると、かつての「シネフィル・イマジカ」ではないか。いつの間にチャンネル名を変えたのか。何年か前から見なくなったうちに、この最良の映画チャンネルは色んな変遷を辿っていたようだ。

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トビー・フーパー追悼

悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』『スペースインベーダー』のトビー・フーパー監督が今月の26日に亡くなった。代表作の『悪魔のいけにえ』を除く複数の作品が敏腕プロデューサーのもとで製作されたせいか、『ポルターガイスト』はいわゆる「スピルバーグ帝国」を建設中のスティーヴン・スピルバーグに、『スペースインベーダー』はキャノン・フィルムズのメナハム・ゴーランに、映画監督としての名声を乗っ取られた感がなくもない。とくに『ポルターガイスト』にあっては、スピルバーグの映画と勘違いしている人が21世紀になっても後を絶たない。 

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